カオル幼稚園はこのように考える。(1980年)

幼児教育は人生の苗作り

「第一ボタンをかけちがうと最後までくいちがう」という西洋の諺があります。

よい収穫は苗作りで決ることは、どなたも知ることでしょう。人間の一生を左右する幼少時代の教育も、よい苗作りに比適することです。

心身の発育の最も著しい幼児期を、明るく愛情に満ちた家庭に育ち、更に専門職であるすぐれた教師によって、しっかり導かれた子どもは、その個性を十分に伸して、立派な生涯を過していくことは、古今の歴史が示す通りであります。

ところが、現在の家庭や社会環境は、子ども達の健全な成長を阻害する、多くの悪条件が余りにも多く、親の期待に反した身勝手な独りよがりの子どもや、根性の乏しい無気力な青少年、さては非行者が大量に生れでる結果となっています。

経済生活に恵まれ教育制度は、充実していながら何故この様な病的社会が生れてきたのか、この大きな社会問題の解決に立ちむかい、その原因を断ち切って21世紀にたくましく前進して、国際的に活躍できる人材の育成こそ、私達幼稚園に課せられた苗作りの使命ではないでしょうか。

時代は人材を求めている

 21世紀は今の幼児達が日本を引継ぐのであります。その時は名実共に世界の指導国となっているでしょう。

そのためには、これからの教育は自己の特性を生かし、社会のリーダーとして国際的に活躍できる、巾広くスケールの大きな人材を育てなければ、我が国は勿論世界の発展はのぞめません。

このような人づくりの基礎を受持つ、幼稚園にふさわしい教師と教育環境を整備して、皆様の大切な子弟を預ることが、私共の使命であり誇りでもあります。

カオル幼稚園は設立後、日も浅く発展途上にある若い園です。理想と愛情に燃えて意欲的な教師が使命観に徹し、真剣に子どもの教育にとり組んでいます。

子ども達は皆様の後継者であり、次の世代を背負う国の宝でもありますから、その成長の結果は、皆様方の家庭の繁栄と直接結びつき、ひいては国家の盛衰を左右するものであります。

時代は人材を求めている

  人は教育によってのみ人となることができる。(哲学者カント)人は他の動物と異り、生れながらにして自立することができず、長い間親の養育と感化によってその性格が形成され、人生の方向づけが決まるのです。

この幼児期の教育をどのように行うかは、すべての親の重大な関心事であり、また親の責任でもあリます。その解決の一端を担うのが幼稚園であります。

入園前の子ども達は、家庭という小さな社会に育ち、交友も少いが入園と共に始めて集団の仲間入りして、様々な経験を通じて団体生活の生き方を学習し、その能力を伸して社会生活に適応する、立派な苗作りができるのであります。

このような幼児教育の重要性を自覚して、その施策に専念し皆様の宝をお預して、日夜精進努力を続けているのが私共カオル幼稚園の姿であります。

カオル幼稚園の教育

 幼稚園の使命を達成し、その目的を完遂するため、園児に対する年間の教育計画や日々の指導はどの様に展開されているかその要点を申し上げます。

のぞましい幼児の教育方針
  1) 健康な身体とねばり強い体力づくり。
  2) 集団生活のきまりを守り友達と仲よくできる習慣を身につける。
  3) 正しい言葉づかいや表現能力を身につける。
  4) 自然に親しみ観察力や知的興味を高める。
  5) 美的感覚を養い明るく豊かな情操を育てる。
  6) 創造性を高め表現能力を身につけ、温かく思いやりの心情を養う。
これらの大領域を効果的に学習し、実践に導くには教師及び教育環境の条件整備が重要であります。この実現に関しては特に次の点に留意しています。 
  イ) すぐれた指導力と豊かな愛情を備えた教師による、正しいしつけときめ細かな学習活動にとりくむ。
  ロ) クラス定員を30名程度におさえて園児の個性を十分のばし、行き届いた指導を行う。
  ハ) 園と家庭が協力して、子どもの特性に即した教育の機会を多くし、各種行事や特別教育活動の場を設ける(現在ピアノ、絵画、バレー、英語)。更に近く、遊びを中心とした創造性開発の英語学習を実施いたします。
  ニ) 緑濃い変化に富んだ自然環境を生かして、楽しい遊具や観察教材を配置し、更に体力向上に役立たせるためグランドを整備します。
  ホ) 園児の健康と安全管理に万全を期し、教室の衛生環境を快適にし、給食健施設の充実をはかります。

  このような園の教育方針やその展開には、保護者の深い理解と協力を得られてこそ、十分にその効果をあげることができるのであります。

むすび

 園の「シンボルマーク」をごらんください。これは教師と子どもたちの愛情の象徴です。子どもをしっかりとだきしめ、ひとりひとりにきめ細かい指導を表しています。

このようにして皆様の期待に添い、次の世代を担う後継者として十分活躍できる人材の苗作りを果すことを確信しています。

都会の雑音をはなれ、静かな緑濃い自然の中で思う存分手足を伸して楽しく遊び、充実した学習内容によって、豊かな情操と集団生活に必要な規律や徳性を身につける環境を整備して、皆様のお役に立つことの喜びと、使命を十分果たしていく考えてあります。

バックナンバー
創刊号 カオル幼稚園はこのように考える。(1979年)
2 カオル幼稚園はこのように考える。(1980年)
3 躾について (1981年)
5 21世紀を担う子供たちに明るい社会を (1983年)
9 この10年を顧みて (1987年)
10 子供の将来には無限の危険性も (1988年)
11 家庭での子供達の生活空間を考える (1989年)
12 玩具あれこれ (1990年)
13 子供の食習慣と栄養 (1991年)
15 子供達の自主性を育てよう (1993年)
16 やり直しがきかない子育て (1994年)
17 感性をはぐくむ (1995年)
18 遊びについて (1996年)
19 自然に遊ぶ、大地に学ぶ (1997年)
20 父親に期待される子育て (1998年)
21 女性の社会進出と子育て支援 (1999年)
22 思いやりの心を育む (2000年)
23 これからのエリート教育 (2001年)
24 子育て環境は8歳までが勝負 (2002年)
25 メディア漬けから子供たちを守ろう (2003年)
26 これからの子育て支援 (2004年)
27 ことばの教育 (2005年)
28 食育について考える (2006年)
29 真っ当な人間に育てる (2007年)
30 創立30周年にあたって (2008年)
31 「自然」は最良の教師 (2009年)
32 本を読む習慣を付けよう (2010年)
33 群れ遊びについて考える (2011年)
34 こどもには沢山の体験を (2012年)
35 美徳を取り戻そう (2013年)
36 国際化とこども教育 (2014年)
37 子ども・子育て新制度を考える (2015年)
38 リーダーを育てる (2016年)
39 データから見た幼児教育の重要性 (2017年)
40 人工知能時代を生き抜くこども達 (2018年)
41 これから世界的に活躍出来る人に (2019年)
42 カオル幼保グループの考え方 (2020年)
43 緊急事態宣言下に考える (2021年)