家庭での子供達の生活空間を考える (1989年)
子供の成長と子供部屋
住宅の取得は、当地でも地価高騰のあおりを受けて大変難しくなってきました。
子供が小さいうちは未だよいのですが中学生、高校生となるにつれ、スペースも広く必要とし、悩みは尽きません。
更に、狭い我が家を何とか都合つけて、子供部屋を作ってあげたが、それが禍して子供の生活指導が難しくなり、知らず知らずのうちに手抜きになってしまったということもあります。
中にはいつのまにか、親の手に負えない状態になってしまった等のケースも、マスコミに報道されています。
子供の成長に従い、スペースを広く必要としても、建物は土地や予算の制約から、すぐに広くすることは出来ません。そこで、今回は幼稚園から小学校低学年位までの子供達の生活空間について考えてみたいとおもいます。
子供部屋が思わぬ落し穴に
日本中が貧しかった頃、庶民は狭い家ながらも、その中で大勢の家族が肩を寄せ合って暮らしてきました。
そうした中で、誰に言われるともなく、合理的な基本的生活習慣も身につき、社会生活の基礎が出来てました。
子供部屋などは一部の限られた階級以外知らなかった。ところが現在は殆どの家に子供部屋が作られています。両親の部屋はなくても子供部屋は一番良いところにあり、個室であります。
子供が小さい時から個室をあてがわれた場合、独立心の養成など良い点もありますが、それよりも弊害の方が多いように見受けられます。
そういういくつかの問題点をあげてみたました。
・ 家族のみんなと一緒に過ごす時間が少なくなる。
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親子のコミュニケーションが悪くなる。
・ 小さいときから身に付けたいマナーや周囲との協調性が欠けてしまう(他を気遣う必要がない)。
・ 家族の一員として当然なすべき家事の手伝いなどの習慣が身につかない(いやだと思えば自分の部屋に閉じこもれる。)
・
親の側からは子供が今何をしているのか見えにくい。(例えば、外に遊びに行ったらしいが帰ってきたのか来ないのか、寝ているのか、いちいち見に行かないとわからない)
・ 日常の接触が不便だとつい子供とのふれあいが疎遠になりがち。
・
子供部屋の整理・整頓・清掃などは子供の仕事なのだが、つい、見過ごしてしまう。
このような事は小さいうちでないと中々身に着きません。従って親はうっかりして見過ごし、後から気付いても修正が効きにくく、始めからやり直してもらうということも出来ないのです。
子供部屋の条件
以上に述べたような問題を防止するには、何の為に子供部屋を与えるのかをよく検討したうえで、どうしても必要なら与えることです。
必要としないのに、子供だけの要求で与えるべきでありません。もし、与えるときは、上記のような問題が起きないように、以下の点を織リ込むのがよいと思います。
1.
いつも親の目の届きやすいところに子供部屋を置く。親が使っている部屋の一角でも良い。(子供はその方が安心する。部屋の形態を成していなくても良いではないか。みんなでスペースを共同使用させる方法もある)
2.
個室にしない。いつでも誰でも子供の居住スぺ一スに人リ込めようにする。オープンスペースが良い。(内鍵のかかる、或いは内側に鍵を取り付けられるような部触は与えない)
3. 最初からよい部帰は与えない、何かの都合で他へ移らせるとき説得に苦労する。