玩具(おもちゃ)あれこれ (1990年)
最近の玩具
そろそろ秋も深まり、玩具のシーズンがやって来る。玩具のお店の前を覗いて歩くのは大人でも楽しい。
最近は中学生、高校生、あるいはOLまでも大切なお客様だそうです。
玩具のお店も大型化して来たし、さらに米国からは子供向けの大型店もやってきました。
子供をターゲットにしたマーケットはいよいよ話題性に富んでいます。
玩具のお店を覗くと、TVコマーシャル中に載って、次からつぎへと売出される最新流行のもの、売れ筋のものが所狭しと置かれており、ぬいぐるみやプラスチック製の玩具が多いのです。
TVから抜出して来たような可愛いぬいぐるみや、ゲームなどは親の方が欲しくなってしまいそうです。これらの特徴は殆どのものが完成度が高く、一人で遊べます。
従って値段も結構し、親の姿勢にもよりますが、子供が少なければ、いろいろと何でも買って与えることが出来る時代で、ただ、それが果して子供の将来の為によい結果をもたらすかどうか大いに疑問です。
私達は今まで余りにも玩具メーカーの手に委ね過ぎていないでしようか。勿論、メーカーの中には常に子供にとって良い玩具とはどんなものかを考えて取組んでおられる所もあります。しかし、その数は少ない。
玩具への期待
さて、ここでは玩具の理想像を考えてみます。子供がこの世に生まれて最初に目にし、触って、眺め、喜ぴ、楽しみ、考えるものが玩具です。子供は玩具により感情を豊かにし、知能をのばし、玩具を通じて社会へ入ってゆく芽が育てられます。
「人は遊んでいるときだけ、人間本来の姿をしている」(フリードリッヒ・シラー)の言葉や、「良いことの源はすべて遊びの中にある。」〈フリードリッヒ・フレーベル〉などの言葉のように子供も大人も遊んでいるとき、実に生き生きと人間本来の伸びやかな姿を見せています。
だからこそ、遊びを充実させられる玩具は大切なのです。西ドイツの古くからある玩具の専門メーカ一の考え方、あるいは最近開催された「玩具フォーラム」での意見などを参考に、私の考えた玩具の理想像を纏めてみました。
すなわち、
・ 創造性を与えてくれるもの(子供は手にした玩具はどうやったらもっと楽しく遊べるかを考え、創造力を脹らませるもの)
・ 子供に夢を与えてくれるもの
・ 優しさを与え、育ててくれるもの
・ 安全性、耐久性にすぐれているもの
・ 一人遊ぴでなく複数で遊べるもの
・ 子供に未知の体験をさせることのできるもの
・ 分解・組立ての出来るもの
親子のふれあいのできる玩具
根切れ、棒切れ、竹、ハンカチーフ、道端の草、木の実、段ポール箱など、何でも立派な玩具になります。
又、大人が見れば「がらくた」などと思うようなものでも子供にとっては大事な宝であったりします。値段の高い、安い、見栄えなどに関係なく子供にとっての価値なのです。
お父さんや兄弟に作ってもらった、どんぐりの実のコマが思い出になっている人もいるでしよう。家庭ではお母さんやお父さん、僅かの時間で結構ですから、玩具を囲んで一緒に遊んであげて下さい。
幼稚園でも父の日には、お父さんと一緒に簡単な玩具を作って貰いますが、二人で背中を丸めて一生懸命に作っています。毎年の行事ですが楽しみの一つです。