子供の食習慣と栄養 (1991年)
子供の食事が危ない
最近、子供に肥満児や高血圧児が増え、コレステロールの高い子供、それにストレスやイライラなど、いわゆる成人病予備軍が増えています。又、病気がちの子供、歯並びの良くない子供、虫歯の多い子供、すぐ骨折する子供など大変に多いようです。原因は遺伝や体質、運動不足などにも関係しているのでしょうが、ほとんどが幼児期の食習慣、特に食習慣の乱れによるものと思われます。そこで大人は子供に何をどんな風に食べるべきかをしっかりと教えなければいけないと思います。
おやつのほとんどが澱粉、砂糖、塩などの五品目
スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ファーストフード等に行きますとおよそ12,000~13,000種類の食品があるそうです。特に子供のおやつは500~600種類といわれています。しかし、原料はほとんどが澱粉か小麦粉、砂糖、油、塩の5品目です。このうち、塩を除けば炭水化物、つまり、高カロリーの塊です。又、インスタント食品やスナック菓子などは食塩を多用しており塩分の取り過ぎには要注意です。この5品目の取り過ぎが肥満児を作り、コレステロール値を上昇させます。
発育期に特に必要なカルシウムと蛋白質
人間には喉が渇くとか、塩分、砂糖に対する欲求というのはありますが、ビタミン、ミネラル、蛋白質が足りないなどの自覚はありません。 小学生が給食で多く残すのは緑黄色野菜、淡色野菜、魚です。それらは幼児期の食習慣に問題があるのです。野菜嫌いは便秘がちになり、ベータカロチン、ビタミンB2やビタミンCの不足になります。風邪をひきやすい子、皮膚炎や肌の荒れやすい子、疲れやすい子供たちです。カルシウムも一日一本の牛乳では、150~200mgしかとれません。幼児から小学校低学年までは一日に400~600mg必要です。特にこれらの発育期には人間の生涯にこの時だけカルシウムが骨や歯を中心に蓄積されます。成人になってからいくら取ってももう間に合いません。小魚、豆腐、小松菜、ヨーグルト、チーズ等に含まれます。カルシウム不足から来るイライラ、集中力のない子供、すぐに骨折する子供には日常の食品だけで足りそうにないとき、栄養補助食品で良質なものからでも取る必要があります。
60兆に及ぶ人間の細胞の中で一度出来たら死ぬまで作り換えられることのない細胞があります。それは脳細胞で7才までに完成するといわれています。良質な蛋白質をとった肥沃な脳は死ぬまでそのままですし、栄養の不足した貧弱な脳細胞も死ぬまでそのままです。したがって小さいときに充分な栄養を与えられないで、もともと痩せた脳細胞に後からいくら詰め込んでも無理と言うものです。
正しい食習慣のすすめ
①朝食は必ずとり、一日三回規則正しい食事。②食べ物の種類もバランス良く(一日30品目を目標に)。③食事は一口30回良く噛んで(料理の際、具を大きくきると良く噛むでしょう)。④好き嫌いをさせない。⑤カロリーの取りすぎに注意。⑥不足しがちなカルシウム(牛乳、小魚、緑黄色野菜)を充分に。⑦うす味料理に慣れさせる(塩分を控えるため)。⑧毎食、野菜を使った料理を。⑨おやつは時間と量を親がコントロール(甘い菓子、嗜好飲料をとり過ぎない)。⑩それに何といっても手作りの料理です。さあ、以上のようにして子供たちに正しい食習慣を身につけさせ、ご両親協力しあって子供たちの将来に向けて、心身共に健康な明るい人生の基礎づくりをしておいてあげましょう。