子ども・子育て新制度を考える (2015年)

背景

 ご存知のように我が国は既に少子高齢化の時代に入っており、一部では労働力の不足が経済の発展を阻害しつつあるように感じます。また子育て家庭では多くの負担を強いられ、その緩和に協力の手を差し伸べる必要があります。我が国がこれからも国際的に優位を保てるような存在である為には子育てし易い社会を作って行くこと、効果的な保育や教育を提供する必要があると考えます。最近、子育て支援についてはアベノミクス新三本の矢でも取り上げられているように国家的なプロジェクトとなっております。私共もできる限りの協力を考えております。 

子ども・子育て新制度がスタート

 上記の解決のために政府は以下のような目的をもって今年度より本格的に施策をスタートさせました。
① 質の高い保育・教育の提供
② 待機児解消に向けた保育サービスの拡大確保
③ 地域の子ども・子育て支援の充実
これらに係る費用は主に消費税で対応することになっており、市町村が運営の主体となって進められております。

新制度についての保護者から見てのメリットは何か?

私達、子供達の教育や保育に携わる立場の者には、新制度を導入するか又は旧来のままで事業を継続するかの選択肢が与えられております。そこで私共としては、先ず保護者様にとってはどのようなメリットがあるのかを検討してみました。

幼稚園が新制度に移行した場合のメリット(幼稚園でも保育を行う)

①0,1,2歳児からの幅広い保育サービスが受けられる為、長期間同じ園で保育や教育が受けられる。
②教育的な強みを一層享受できる
③同じ園で子育て支援のサービスが受けられる。

保育園が新制度に移行した場合(保育園でも幼稚園のような教育を行う)

①教育面での充実が期待できる。
②保護者の方が未就労になっても引き続き行き慣れた園で教育面での利用継続が可能。
③オプションが増える。少子化がかなり進んだ上での話となりますが、例えば希望する園に通える等、ある程度保護者の要望が叶えられるのではないかと考えられる。

課題とリスク

 新制度に対応して行く為には私共としても多くのリソース(スペース・人材・設備など)が必要です。ところが現在は保育や幼児教育に携わる方々の人材不足を始めとして課題山積です。

仮に新制度に転換出来たとしても、実施して見ないと判らないようなリスクが潜んでいることは当然考えられる為、慎重な検討が必要と考えております。

 参考資料:内閣府発行: 子ども・子育て支援新制度について。フレーベル館発行 保育ナビ2015.8月号。

バックナンバー
創刊号 カオル幼稚園はこのように考える。(1979年)
2 カオル幼稚園はこのように考える。(1980年)
3 躾について (1981年)
5 21世紀を担う子供たちに明るい社会を (1983年)
9 この10年を顧みて (1987年)
10 子供の将来には無限の危険性も (1988年)
11 家庭での子供達の生活空間を考える (1989年)
12 玩具あれこれ (1990年)
13 子供の食習慣と栄養 (1991年)
15 子供達の自主性を育てよう (1993年)
16 やり直しがきかない子育て (1994年)
17 感性をはぐくむ (1995年)
18 遊びについて (1996年)
19 自然に遊ぶ、大地に学ぶ (1997年)
20 父親に期待される子育て (1998年)
21 女性の社会進出と子育て支援 (1999年)
22 思いやりの心を育む (2000年)
23 これからのエリート教育 (2001年)
24 子育て環境は8歳までが勝負 (2002年)
25 メディア漬けから子供たちを守ろう (2003年)
26 これからの子育て支援 (2004年)
27 ことばの教育 (2005年)
28 食育について考える (2006年)
29 真っ当な人間に育てる (2007年)
30 創立30周年にあたって (2008年)
31 「自然」は最良の教師 (2009年)
32 本を読む習慣を付けよう (2010年)
33 群れ遊びについて考える (2011年)
34 こどもには沢山の体験を (2012年)
35 美徳を取り戻そう (2013年)
36 国際化とこども教育 (2014年)
37 子ども・子育て新制度を考える (2015年)
38 リーダーを育てる (2016年)
39 データから見た幼児教育の重要性 (2017年)
40 人工知能時代を生き抜くこども達 (2018年)
41 これから世界的に活躍出来る人に (2019年)
42 カオル幼保グループの考え方 (2020年)
43 緊急事態宣言下に考える (2021年)